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大学入学シリーズ2/4 なんで先端メディアサイエンス学科に入学したの?

この記事は大学に入学するにあたり執筆した4本の記事のうちの1本です。 他の記事などについて知りたい時は、イントロ記事を参照してみてください。

なんで先端メディアサイエンス学科に入学したの?

結論から言えば、研究室と、学科の教育方針と、入学するために必要なコストで選びました。

ちなみに、私が入学した明治大学総合数理学部の先端メディアサイエンス学科は、英語表記ではFrontier Media Scienceとなります。 略してFMSとなるので、以後、FMSと記述します。

研究室で選んだ

大学に入るにあたり、最も重要なことの一つは、行きたい研究室があるかどうかだと思います。 自分の専門分野を決め、自分の興味のある範囲を絞り、それについて研究することができる研究室があるかどうかは、大学における研究活動を豊かにする上で重要な要素であると考えます。

私の興味などについて簡単に説明すると、興味のある分野はComputer Graphics(CG)です。 そして、CGの中でも特に、人がCGに対して影響を及ぼすというのが自分が最も興味を持っている範囲です。

CGで作られた世界に影響を与える、という意味ではゲームというのは一番身近な存在だと思います。 しかし、CGをゲームというコンテンツ分野に限定してしまうのは、非常にもったいないことだと思います。 コンピュータでシミュレーションできることは幅広く、現実世界では実施不可能な条件でも、シミュレーションすることが可能です。 そのため、医療・建築・交通などの一部分野においては、CGを専門とする人間と協力することで、それらのシミュレーションをおこない、方針の妥当性を検証したりしています。

これを、もっと一般化できないか、というのが自分のモチベーションにあります。 現在のシミュレーションの運用というのは、CGの専門家が作ったシミュレーション映像を、医療や建築など別の専門家の人たちが、その結果を観て判断するという流れを取っていることがほとんどだと思います。 そして、そこに登場する人物は全員が専門家であり、何かしらの高等教育を受けた人たちです。 現在シミュレーションツールというのは、一部の教育を受けた人だけが使える、高尚な存在のようになってしまっていると感じています。

それを、小学校や中学校、自宅などで、その道の専門家でなくても、気になったことを簡単にシミュレーションしてみて、コンピュータで試せるようにしたい。 例えば、よく洪水による被害を表現するためのシミュレーション映像などが流れたりしますが、あれはとある地域を元にしている映像です。 しかし、日本は四方を海に囲まれており、自分の住んでいる地域はどうなのか、確かめてみたい人は大勢いると思いますが、その手段やシステムは、未だ確立されていません。

この様に、自分の周りのアレをこうしたらどうなるんだろうか?というのを、気軽に試してみるのが当たり前な社会になって欲しい。 そうやって、色々な発想の検証にコンピュータを使うようにならないか。 それによって、CGを、コンテンツ分野だけに留まらず、もっと広く社会で必須な分野となるのではないだろうか。 それによって、人のは発想力などが、より豊かになったりするのではないだろうか。 というのが、自分のモチベーションになっている部分です。 この部分は、まだ全然詰めが甘く、荒削りな考えなので、今後大学内で研磨していく必要があると考えています。

とにかく、これらのモチベーションを実現したり、より洗練していくために必要な専門分野として、CG、数学、HCI、UI、デザイン、認知科学など多岐にわたる分野が思い浮かびます。 FMSでは、これら全てについて、それぞれ専門としている研究室を有しています。 CGなら五十嵐研や福地研、数学なら阿原研や鈴木研、HCIなら宮下研、UIなら中村研、デザインなら渡邉研、認知科学なら小松研、といった感じです。 他にもいくつも研究室を抱えており、その最大の利点は研究室同士が非常に近いため、他の研究室の意見や知識を取り入れやすいという事があると思います。

個人的には、大学というのはどうしても研究室という括りでカテゴライズされていく印象があり、他の研究室の学生がやってる内容をよく知らない、という話もよく耳にします。 これは単純な機会損失な気がしており、そもそも専門家として学んでいく上で、一つの分野に閉じきることの方が難しいのだし、むしろ自分の主となる分野の研究室に所属しながらも、関連のある分野の研究室とは積極的に交流したほうが良いんじゃないのかって思います。 (とは言え大学に入ったばかりなので、本当のところどうなのかはこれから見定めるところです。)

結論として、自分の主とするCGを扱う研究室に所属しながらも、それらに関連する研究室にも関われそうな体制と、それだけの研究室があるというのが、FMSを選んだ理由です。

教育方針

これはFMSの方針だけではなく、総合数理学部全体の方針も含んでいます。 総合数理学部の教育方針は

“モノや構造を支配する原理”を見出す数理科学は,新たな発想で既存の概念を超えるイノベーションを生み出す原動力として期待されています。総合数理学部は「社会に貢献する数理科学の創造・展開・発信」を理念に掲げ,普遍的かつ強力なツールである数理と情報についての先端的知識と技術をもって現代社会の諸問題に対処し,国際的に活躍できる人材を養成します。カリキュラムにおいては,数理と情報を軸に,学生の知的好奇心を高めるとともに,論理的・科学的思考力,柔軟な応用力・創造力を育みます。

出典:教育課程編成・実施方針(カリキュラム・ポリシー) | 明治大学

となっています。 これを個人的解釈の元、噛み砕いて言ってみると、

  • 新しい原則、法則、概念を作ったり、理解するためには数理科学が必要となる
  • 現代において、それらを実現する手段として、情報科学情報工学は非常に強力である
  • そこで、数理と情報、両方が分かる人を育てよう

っていうものだと、自分は認識しています。 端的に言えば、これから先の時代を、その場しのぎな技術に依らず、確固たる能力を示すには、数学とコンピュータの両方の知識が必要だよねってことだと思います。

これは凄い賛成で、自分も数学と情報科学、その両方をちゃんと修めるべきだと思いますし、修めたいと考えています。 ですので、情報工学科の様に、情報科学に振り切るのでもなく、数学科のように数学に振り切るのでもなく、その両方を必要十分に学ぼうっていう方針は、とても賛同を覚えました。

入学コスト

これは自分目線での話ですが、FMSは通常の入学試験だけの場所と比べて、入りやすいです。 というのも、総合数理学部の各学科には、自己推薦入試というものがあります。 その中でもFMSでは、自分の書いたプログラムとその概要書を提出し、学科の先生方の前でプレゼンをおこない、合格したら入学できるというものです。

正直に言って、社会人をしながら大学入試をするのはめっちゃキツいです。 特にセンター試験などは、科目数が多すぎて、とてもではないですが追いつきません。 そこで、既に仕事でプログラムをある程度書いていた自分にとって、自己推薦入試の存在は本当にありがたかったです。 (実際には普通に筆記の入試を受けたりもしましたが、詳細は大学入学シリーズ3/4を参照してください)

そこで、前述の二つの理由もあり、受けない理由がないなってことで受験し、合格を頂いたので入学をしました。


以上が、先端メディアサイエンス学科に入学した理由です。 あと、これはあくまで個人的に感じていることですが、FMSの本質はプログラムを書くことにないと思っていて、それが凄く良いなって感じてます。 プログラムを書くこと / 書けること、それ自体に価値があるのではなく、新しい何かを考えて、作り出す時に、数学的知見に基づき検討し、プログラム能力によって試行してみることに価値がある。 っていうスタンスを感じています。 世の中には「プログラムを書ける奴は凄くて偉い」という様に、無条件に信奉をする人もいますが、FMSではその先にちゃんと本質が置かれている感じを受けています。

FMSのFはFrontier、つまりは未知なる領域を切り開いていく学科です。 未知なる領域において、その考え方が正しいのかどうか、論理的に示す武器として、数学を使う。 そして、その領域に新しい分野を築き上げるのに、プログラムを使う。 FMSの本質は、創作活動ではなく、研究活動であり、ResearchとDevelopment、その両方ができる人間を育てることが、FMSの教育の本質の一つなのかなと考えています。