ゆるふわガチ勢

趣味で人間をしている

大学に入学しました

すでにTwitterFacebookなどで報告しましたが、2019年4月1日に明治大学 総合数理学部 先端メディアサイエンス学科に入学しました。 また、それにあわせ、チームラボ株式会社の正社員は退職し、現在はアルバイトとして働いています。

本記事は、大学に入学するにあたり、その背景やお気持ちなどを自分のために整理したり、他人と共有するための物です。 また、この記事で書かれている考え方などは、私が自分自身に対して思っていることであり、他人に対して思っていることではありません。 さらに、内容は理想論に満ち満ちていますので、ご注意ください。


記事を執筆するにあたり、何を書くか考えたのですが、大きく分けて4つの主題に分かれるなと考えました。 この4つの主題は相互に影響を及ぼし合う内容ではあるのですが、人によって読んでみたい部分が異なるかなと思います。 また、これらを一つの記事におさめると、文字数が大変なことになります。 なので、今回はこの4つの主題ごとに、別々の記事を執筆しました。

以下が各記事へのリンクです。

  1. 「なぜ大学に入学したの?」
  2. 「なぜ先端メディアサイエンス学科に入学したの?」
  3. 「どういう感じに受験でしたの?大学入学するにあたって大変だったことは何?」
  4. 「これからについて」

もしご興味を持って頂けましたら、気になる記事に目を通してもらえると嬉しいです。

また、この場を借りて大学入学にあたって学費の捻出をしてくれた親類縁者の方々、試験勉強や入学のために私のわがままを許してくれたチームラボの同僚の皆様、そして年上の偉そうな奴とか思わずに温かく迎え入れてくれた学科の皆様に、感謝の言葉を記させてください。 本当にありがとうございました。 未だ若輩者ですが、これからもよろしくお願いします。


大学入学シリーズ1/4 なぜ大学に入学したの?

この記事は大学に入学するにあたり執筆した4本の記事のうちの1本です。 他の記事などについて知りたい時は、イントロ記事を参照してみてください。

なお、このページがダントツに長いです。

なぜ大学に入学することにしたの?

端的に言えば、「自分の能力の成長に限界を感じたから」です。 それだけだと何言ってるのか意味不明ですが、この感情は、簡単に分けると4つの大きなお気持ちと、いくつかの雑多なお気持ちで構成されています。 これから、それらのお気持ちを順を追って説明します。

1. 何十年か先には、小手先の技術はいらなくなると思うから

ここ数年で急速に「AI」というワードが世間で使われるようになりましたが、それとは特に関係なく、以前から時代と共に「プログラムが書ける」という能力自体の価値は0に収束するだろうなと考えていました。

プログラム自動生成機能の発展、プログラムが書ける人間の数の増加、IT特需の収束など、理由はいくつか挙げられますが、技術の進歩などによって、プログラムが書けるという能力の価値は、ある時代を境に減少すると思います。 では何が重要になるのかと言うと、やはり数学、物理、計算機科学などの専門的、基礎的な部分の能力か、プログラムとデザインやマネジメントなどの、プログラム以外の価値を生み出す能力が付随することだと思います。

そもそもとして、IT分野におけるプログラミングという領域は、基礎より応用のほうが簡単という珍しい状態にあります(計算機科学が基礎に当たり、それの応用としてのプログラミングが存在するという認識でいます)。 しかし、その応用領域は簡単であるがゆえ、徐々にそれ単一での価値を失い、その結果として基礎的な部分の知識を理解しているかどうかが決定的な差を生み出すことになると思います。

誰でも読んで理解できる内容のブログ記事などで、コードの書き方を覚え、とりあえず何かを開発する人。数学や物理や計算機科学など、専門的、基礎的知識がないと読めない文章が読めて、それをコンピュータ上に落とし込むことができる人。これから何十年後かには、この二者における待遇格差などは広がることになると思います(個人的には広がって欲しいと思います。より専門的に高等な人ほど、厚遇されるべきです)。そんな中で、専門家として生きていくためにも、それら専門的、基礎的知識の方を、さらに修めていきたいと考えています。

ちなみに、私はブログなどから学んでプログラムを書くこと自体を否定している訳ではありません。 むしろそれは工業的には正しいことだと思いますし、その人たちも社会においては重要だと思います。 単に個人的思いとして、自分はなにかを作る人でありたいと言うよりも、なにか専門的バックグランドがあって、それを活用して新しい何かを提供する側になりたいというだけの話です。 そして、そちら側の方が今後は更に厚遇されそうな気がするな、という考えです。

2. 学ぶべきことが離散的になっている

私は計算機科学について、ほとんどの部分をちゃんと学校で学んではいません。高専では電気・電子系の講義が大半を占めていました。 いま持っているほとんどの知識や技術は、興味を持って読んだ専門書からだったり、Webで調べたり、実際に作ってみて感覚的に理解していったりした物です。

それ自体は別に悪いものではないのですが、このやり方はどうしても知識や技術に偏りや誤りが生じます。また、特定の考え方に強くとらわれてしまう傾向にあるとも考えています。 誰にでも分かるように、咀嚼されて吟味されて柔らかくなった専門書ではなく、その分野を専門として修める人が読むような専門書を読んでいると、そのことを強く実感できます。 この知識は知っているのに、この知識は知らない。 このアルゴリズムが良い物だということは分かるが、他と比べてどこが優れているのか、どこが劣っているのか、理論的に網羅して他人に説明することはできません。 なんとなくの雰囲気で説明することはできるのですが、これでは個人的にとても不満が残ります。

これは計算機科学だけではなく、数学や物理を筆頭に、他の分野にも言うことができます。 数学はその点、特に計算機科学と同様だと感じていて、「よく分かんないけどこうすれば計算できるらしい」ということで計算することは比較的容易ですが、「必要条件と十分条件の元で、この定義に基づくと、この様に導出できる」という様に計算の流れを理論的に理解するのは、十分に積み重なった重厚な数学力が求められます。 これは、いまの自分にとても不足しているものです。

また、私は「自分の専門分野以外は学ぶ必要がない」には断固として反対なので、俗に言う理系分野だけではなく、認知科学や経済学や歴史学社会学なども好んで学んでいます。

これらを独学することはもちろん可能ですが、幅広い学問分野を独学するのはどうしても非効率的であり、特定の考え方や誤りにとらわれるようになりやすいと私は感じています。 一番良いのは、それらを高度に修めた人の元で、体系的に教えを受け、分からないところは指導してもらい、間違えているところは指摘してもらい、「自分の理解や認識は、定量的に評価された事実として間違っていない」ことを保証してもらいながら学んでいくことです。 大学という教育機関は、これらをおこなう上で、非常に有用だと思っています。 逆に言えば、私が大学に求める物の一つでもあります。

まだ入学して3ヶ月程度しかたっていませんが、私が入学した学科(以下、FMSとします)の先生たちは、優しいながらも厳しい目を持ち合わせ、きちんと指導していこうという気持ちを既に感じ取っています。 これを最大限活用できるかどうかは私次第ですが、これから4年間でできるだけの物を見に付けていきたいです。

3. Google検索で出てくること以上のことができない

これは「2. 学ぶべきことが離散的になっている」と強く関わるところではありますが、現状の能力ではGoogle検索で出てくること以上のことをするのが非常にしんどいです。 Google検索とは非常に強力で、集合知がいかに便利なものかを教えてくれます。

しかし、それは同時に危険でもあります。 もし検索した結果、間違ったことが書かれていた時に、それを間違っていると気付くことができるだろうか?間違えをそのまま受け入れてしまわないだろうか?もし間違いに気付いたとしても、どこが間違っているのかを専門的知識に基づき説明できるだろうか? という問題もはらんでいます。

また、いくら集合知とは言っても、自分に理解できない物はどれだけ読んでも理解できません。 知識を理解するために必要な知識がなければ、あとは体感的に「こうすればこう動くっぽい」を繰り返していくことで、身体で覚えるという形を取ることになってしまいます。 もしくは、その知識の前提知識を集合知として明瞭に共有してくれる人の登場を待つことになってしまいます。

さらに、未だ集合知になりえない最新技術などを、集合力から知ることはできません。 10年前に既に存在した技術などが、10年の時を経て集合知となり、インターネットで話題となることで一気に多くの人が学び始める(もちろんそれだけを起因としているとは考えていません)というのは、IT業界においてはどの分野でも観測できることだと思います。

これに関しては、「1. 何十年か先には、小手先の技術はいらなくなると思うから」でも述べましたが、工業的にはとても正しい姿だと思います。 IT分野のように社会で広く一般に使われる技術などは、工業的生産性が向上していくべきであり、そのためにはまず第一に「誰でも簡単に少し学べば使えるようになる」必要があります。 この点、現状のプログラミングなどのIT分野のドメイン設計は、素晴らしいの一言に尽きると思います。 小学生でも、大人でも、インターネットを使って勉強をすれば、プログラムを書くことができるようになっています。

しかし、これは自分にとっては、嬉しい状態ではありません。 自分はあくまでプログラマとしてではなく、計算機科学の専門家として自分の専門分野を修めたいし、Google検索がないと生きていけない人間ではなく、Google検索によって自分の能力や生産性を加速させられるような使い方が出来るようになりたいです。 Google検索で出てくるようなこと、誰かが検証してくれたことや、ツールなどの細かい仕様など、そういった物はどんどん活用していきます。 しかし、検索しても出てこないような、そもそも明確な答えが未だ世界に存在しないような問題に対しても、適切な知識と豊富な技術、最新の論文などを理解する力とそれを実装する能力を持った上で、これからの自分のキャリアを形成していきたいと思っています。

最近親しい友人が「Computer Scienceをちゃんと分かっているエンジニアと一緒に仕事がしたい」と呟いていました。 これには私も賛成です。 現状のIT企業においては、計算機科学を分かっているエンジニアと分かっていないエンジニアがごっちゃになり、同一の評価を得ている傾向にあると思っています。 アウトプット至上主義においては成果こそ正義であるためこれでも正しいのですが、そのような主義がどの場面においても通用する訳がなく、やはり一部企業においては「計算機科学ないしそれに類する学士以上の学位、もしくは同等の能力を示せること(意訳)」となっているところもあります。 これは一種の「プログラマとエンジニアの違い論争」と類似した物だと感じているのですが、私自身は、やはり専門技術者を名乗るならば、それ相応の能力は求められてしかるべきだと思います。

では、ここで自分自身がどうなのかと言われると、いまは胸を張ってその友人に一緒に頑張ろうとは言えません。 先述の様に私は自分が納得のいくレベルまで計算機科学を修めてはおらず、とてもではないですがその点については自信が持てません。 なので、胸を張って自分の専門分野となる主軸を語れるようになるほどに、能力を厚く固くしていきたいです。

そのためには、やはり計算機科学や数学を体系的に学び修め、その上で改めてエンジニアリングに向き合っていく必要があると考えます。

4. 研究をしてみたい

4つ目はわりとシンプルな感情で、単に研究をしてみたいという気持ちです。

今まで私は研究活動をおこなったことがないのですが、仕事などではちょくちょく論文を読む機会があります。 それらを読んでいる中で、やはり前提として必要な知識や数学力などが不足しているなという気持ちから「2. 学ぶべきことが離散的になっている」に戻るのですが、もう一つ純粋な憧れなようなものも感じています。 これらの論文はどうやって考えられてきたのだろうか、どうやってここまで積み重なってきたのだろうか、これから先は何を積み重ねることができるのだろうか、などといったものです。

そして、できるのであれば、自分もそこに関わってみたいし、自分の考える未来を叶えるために少しでも何か積み重ねができるのであれば、やってみたいと思っています。 また、自分の専門としたい分野、私の場合はComputer Graphicsがそれになるのですが、その分野を研究活動を通して、真に自分の専門として修めたいというのもあります。

この点はFMSはわりと積極的で、学年を問わず研究活動を行うことを奨励しているのではないかと思うほどに、はやい段階から研究をしている先輩方も大勢いらっしゃいます。 自分もすぐにでも、何かしらの活動は始めたいなと思っています。

5. 雑多なもの

その他にも、雑多なものが積み重なってそれなりの割合を占めている部分もあります。 簡単に列挙していくと

  • 学位がないと不便
    前述のように一部の企業においては、マストではないにしろ学位を求めてくるところがあります。 また海外で働こうとすると、どうしても学位がないと厳しいです。

  • 一部の人から信用されない&意見を受け入れてもらえない
    これは悲しい現実ですが、やはり働き始めてから「お前は若いから」「大学出てないでしょ」などと言われて、意見を受けて入れてもらえないことがありました。 そもそもとして、年下の意見には一切聞き入れないという人などもいて、別に無理に向き合う必要はないのですが、とはいえ大学を出ているという事実は一部の人に取っては信頼に値する物の様なので、持っていて損はないでしょう。

  • 次のキャリアに悩んだから
    チームラボの正社員として5年以上働いて、次のキャリアを考えたときに、なかなか発展性が乏しいなと感じました。 自分の現在の仕事は偶然たどり着いた部分が大きく、実は数年前からずっと自分の今後のキャリアについて悩んでいました。 最近は会社も有名になって大きくなり、人も増えてきましたが、それに伴い、やはり自分の仕事への哲学と、他の人の仕事への哲学との不一致が徐々に大きな物になってきたのを感じるようになりました。 なるほど、これが音楽性の違いかと思いました。 そこで次のステップに進むにあたって、一度立ち止まって、ちゃんと勉強しなおそうと考えるようになりました。

  • おもしろそうだったから
    社会人から自分の専門を変えずに大学に入り直す人ってあまり聞いたことがなく、おもしろそうだなって思ったからです。人生コンテンツ力。


ここまでが、なぜ大学に入学することにしたかの大まかな理由です。 最後に、これは理由というよりは、いつも心に留めている物で、常にモチベーションのベースにしているものです。

私はエンジニアとして、現役を退き、死ぬまで常に何かを学び続ける必要があります。 専門家として、常に新しい研究や技術を追い続けなければなりません。 さらに、別の専門家たちと意見を交わしながら、彼らに我々の分野のことを説明する時は、一切の言い訳も誤魔化しもできません。 また私は一人の大人として、次の世代に技術や知識を教え伝えていかなければなりません。

そのために必要となるのは、絶対的に安定した土台、基礎となる部分です。計算機科学、数学、物理、それらのどれをとっても、その研究結果などは一見華やかで面白い分野で、その上澄みだけを見ればとても楽しいものですが、現実にはそれらの分野の下には確固たる土台となる部分が存在します。そして、それらを使って何かを表現したいだけとか開発したいだけとかであれば、必ずしも必要ではないものですが、もし、真にそれの専門家であると名乗り、それを後世に伝え、社会に還元していくためには、その土台を私も持つ必要があることを肝に銘じなければなりません。

学生時代に先生から言われた「基礎10、応用1くらいの割合でやってみなさい。基礎がしっかりしていれば、大抵のことには対応できる。逆に基礎がしっかりしていなければ、簡単に揺らぎ倒れることになる」というのは、当時からずっとその通りだなって思い、心に留めています。 大学に入学したのも、結局は自分のスカスカな今の土台を、いま一度綺麗に立て直すためだとも言えます。 これからの人生、常になにかを学び続ける必要がありますが、学び続けるために必要なのは、小手先の技術ではなく、重厚な基礎力です。


大学入学シリーズ2/4 なんで先端メディアサイエンス学科に入学したの?

この記事は大学に入学するにあたり執筆した4本の記事のうちの1本です。 他の記事などについて知りたい時は、イントロ記事を参照してみてください。

なんで先端メディアサイエンス学科に入学したの?

結論から言えば、研究室と、学科の教育方針と、入学するために必要なコストで選びました。

ちなみに、私が入学した明治大学総合数理学部の先端メディアサイエンス学科は、英語表記ではFrontier Media Scienceとなります。 略してFMSとなるので、以後、FMSと記述します。

研究室で選んだ

大学に入るにあたり、最も重要なことの一つは、行きたい研究室があるかどうかだと思います。 自分の専門分野を決め、自分の興味のある範囲を絞り、それについて研究することができる研究室があるかどうかは、大学における研究活動を豊かにする上で重要な要素であると考えます。

私の興味などについて簡単に説明すると、興味のある分野はComputer Graphics(CG)です。 そして、CGの中でも特に、人がCGに対して影響を及ぼすというのが自分が最も興味を持っている範囲です。

CGで作られた世界に影響を与える、という意味ではゲームというのは一番身近な存在だと思います。 しかし、CGをゲームというコンテンツ分野に限定してしまうのは、非常にもったいないことだと思います。 コンピュータでシミュレーションできることは幅広く、現実世界では実施不可能な条件でも、シミュレーションすることが可能です。 そのため、医療・建築・交通などの一部分野においては、CGを専門とする人間と協力することで、それらのシミュレーションをおこない、方針の妥当性を検証したりしています。

これを、もっと一般化できないか、というのが自分のモチベーションにあります。 現在のシミュレーションの運用というのは、CGの専門家が作ったシミュレーション映像を、医療や建築など別の専門家の人たちが、その結果を観て判断するという流れを取っていることがほとんどだと思います。 そして、そこに登場する人物は全員が専門家であり、何かしらの高等教育を受けた人たちです。 現在シミュレーションツールというのは、一部の教育を受けた人だけが使える、高尚な存在のようになってしまっていると感じています。

それを、小学校や中学校、自宅などで、その道の専門家でなくても、気になったことを簡単にシミュレーションしてみて、コンピュータで試せるようにしたい。 例えば、よく洪水による被害を表現するためのシミュレーション映像などが流れたりしますが、あれはとある地域を元にしている映像です。 しかし、日本は四方を海に囲まれており、自分の住んでいる地域はどうなのか、確かめてみたい人は大勢いると思いますが、その手段やシステムは、未だ確立されていません。

この様に、自分の周りのアレをこうしたらどうなるんだろうか?というのを、気軽に試してみるのが当たり前な社会になって欲しい。 そうやって、色々な発想の検証にコンピュータを使うようにならないか。 それによって、CGを、コンテンツ分野だけに留まらず、もっと広く社会で必須な分野となるのではないだろうか。 それによって、人のは発想力などが、より豊かになったりするのではないだろうか。 というのが、自分のモチベーションになっている部分です。 この部分は、まだ全然詰めが甘く、荒削りな考えなので、今後大学内で研磨していく必要があると考えています。

とにかく、これらのモチベーションを実現したり、より洗練していくために必要な専門分野として、CG、数学、HCI、UI、デザイン、認知科学など多岐にわたる分野が思い浮かびます。 FMSでは、これら全てについて、それぞれ専門としている研究室を有しています。 CGなら五十嵐研や福地研、数学なら阿原研や鈴木研、HCIなら宮下研、UIなら中村研、デザインなら渡邉研、認知科学なら小松研、といった感じです。 他にもいくつも研究室を抱えており、その最大の利点は研究室同士が非常に近いため、他の研究室の意見や知識を取り入れやすいという事があると思います。

個人的には、大学というのはどうしても研究室という括りでカテゴライズされていく印象があり、他の研究室の学生がやってる内容をよく知らない、という話もよく耳にします。 これは単純な機会損失な気がしており、そもそも専門家として学んでいく上で、一つの分野に閉じきることの方が難しいのだし、むしろ自分の主となる分野の研究室に所属しながらも、関連のある分野の研究室とは積極的に交流したほうが良いんじゃないのかって思います。 (とは言え大学に入ったばかりなので、本当のところどうなのかはこれから見定めるところです。)

結論として、自分の主とするCGを扱う研究室に所属しながらも、それらに関連する研究室にも関われそうな体制と、それだけの研究室があるというのが、FMSを選んだ理由です。

教育方針

これはFMSの方針だけではなく、総合数理学部全体の方針も含んでいます。 総合数理学部の教育方針は

“モノや構造を支配する原理”を見出す数理科学は,新たな発想で既存の概念を超えるイノベーションを生み出す原動力として期待されています。総合数理学部は「社会に貢献する数理科学の創造・展開・発信」を理念に掲げ,普遍的かつ強力なツールである数理と情報についての先端的知識と技術をもって現代社会の諸問題に対処し,国際的に活躍できる人材を養成します。カリキュラムにおいては,数理と情報を軸に,学生の知的好奇心を高めるとともに,論理的・科学的思考力,柔軟な応用力・創造力を育みます。

出典:教育課程編成・実施方針(カリキュラム・ポリシー) | 明治大学

となっています。 これを個人的解釈の元、噛み砕いて言ってみると、

  • 新しい原則、法則、概念を作ったり、理解するためには数理科学が必要となる
  • 現代において、それらを実現する手段として、情報科学情報工学は非常に強力である
  • そこで、数理と情報、両方が分かる人を育てよう

っていうものだと、自分は認識しています。 端的に言えば、これから先の時代を、その場しのぎな技術に依らず、確固たる能力を示すには、数学とコンピュータの両方の知識が必要だよねってことだと思います。

これは凄い賛成で、自分も数学と情報科学、その両方をちゃんと修めるべきだと思いますし、修めたいと考えています。 ですので、情報工学科の様に、情報科学に振り切るのでもなく、数学科のように数学に振り切るのでもなく、その両方を必要十分に学ぼうっていう方針は、とても賛同を覚えました。

入学コスト

これは自分目線での話ですが、FMSは通常の入学試験だけの場所と比べて、入りやすいです。 というのも、総合数理学部の各学科には、自己推薦入試というものがあります。 その中でもFMSでは、自分の書いたプログラムとその概要書を提出し、学科の先生方の前でプレゼンをおこない、合格したら入学できるというものです。

正直に言って、社会人をしながら大学入試をするのはめっちゃキツいです。 特にセンター試験などは、科目数が多すぎて、とてもではないですが追いつきません。 そこで、既に仕事でプログラムをある程度書いていた自分にとって、自己推薦入試の存在は本当にありがたかったです。 (実際には普通に筆記の入試を受けたりもしましたが、詳細は大学入学シリーズ3/4を参照してください)

そこで、前述の二つの理由もあり、受けない理由がないなってことで受験し、合格を頂いたので入学をしました。


以上が、先端メディアサイエンス学科に入学した理由です。 あと、これはあくまで個人的に感じていることですが、FMSの本質はプログラムを書くことにないと思っていて、それが凄く良いなって感じてます。 プログラムを書くこと / 書けること、それ自体に価値があるのではなく、新しい何かを考えて、作り出す時に、数学的知見に基づき検討し、プログラム能力によって試行してみることに価値がある。 っていうスタンスを感じています。 世の中には「プログラムを書ける奴は凄くて偉い」という様に、無条件に信奉をする人もいますが、FMSではその先にちゃんと本質が置かれている感じを受けています。

FMSのFはFrontier、つまりは未知なる領域を切り開いていく学科です。 未知なる領域において、その考え方が正しいのかどうか、論理的に示す武器として、数学を使う。 そして、その領域に新しい分野を築き上げるのに、プログラムを使う。 FMSの本質は、創作活動ではなく、研究活動であり、ResearchとDevelopment、その両方ができる人間を育てることが、FMSの教育の本質の一つなのかなと考えています。


大学入学シリーズ3/4 どういう感じで受験でしたの?大学入学するにあたって大変だったことは何?

この記事は大学に入学するにあたり執筆した4本の記事のうちの1本です。 他の記事などについて知りたい時は、イントロ記事を参照してみてください。

どういう感じで受験でしたの?大学入学するにあたって大変だったことは何?

私は明治大学の総合数理学部先端メディアサイエンス学科というところに入学しました。 最終的には、自己推薦入試で合格しました。

先端メディアサイエンス学科は、英語表記ではFrontier Media Scienceとなります。 略してFMSとなるので、以後、FMSと記述します。

どういう感じで受験したの?

自分が入学したのが2019年ですが、2018年に一度、普通に受験をしています。 その後に、自己推薦入試によって、合格をもらいました。

明治大学の総合数理学部では、自己推薦入試を実施しています。 これは、高校での成績とか、学校推薦とかではなく、個人が自分の能力を示して自己を推薦するというものです。 高専時代の成績は決して悪い方ではなかったのですが、かなり古い成績だったし、なにより中退しているので学校推薦なんて貰えません。 そんな自分にとっては、最高の入試形態でした。 具体的な内容は各学科によって違いますが、FMSでは自分が書いたプログラムを提出し、プレゼンテーションをおこなうというものでした。 自分は既に仕事でプログラムを書いていたので、まさに自分の強みを活かせたと思います。

だからといって勉強を怠るのは意味がないので、もちろん勉強は別途進めていました。 以下、簡単な略歴です。

  • 2013年に会社に入社
  • 2015 ~ 2016年あたりから大学に行きたいと考えるようになり、根回しを始める
    • 具体的には実家の説得、学費の確保など
    • 2017年の頭くらいに学費の目処とかがつく
    • 2018年にteamLab Bordelessなど、大きな展示を控えていたので、それが終わったら受験しようと考えていた
  • 2017年10月に実家の事情とか、色々あって急いで受験をすることに
  • 2017年10月に興味のある研究をしている先生に連絡を取り、研究室の見学などをおこなう
  • 2017年11月から勉強開始して、2018年2月に受験
    • 志望していたところは全部落ちた(志望してない所は受かったりもしたのですが、この流れで妥協はないなってことで断りました)
  • 2018年3月から7月まで、勉強
  • 2018年7月、8月で自己推薦入試用のプログラムを作る
  • 2018年9月に自己推薦入試を提出
  • 2018年11月に2次面接があり、合格
  • 2019年4月入学

この間、チームラボの方の仕事も並行で進めていました。 正直しんどかったです。 自分の案件だけではなく、新人のOJTメンターとか、その他いろいろとやることがあったので、2018年は入社以来、一番忙しない一年だったかもしれません。

大学入学するにあたって大変だったことは何?

仕事を並行して進めることと、行政的手続きと、税金を払うことです。

仕事を並行して進める件については、そのままの意味なので詳細は割愛します。 時間というリソースの有限性を再確認しました。

まず、行政的手続きについてです。 2017年7月くらいから、勉強に集中するためにアルバイトに切り替えました。 そのため、いくつかの手続きが必要になります。

  • 会社への手続き(退職願とかいろいろ)
    • これはすぐ終わった
  • 厚生年金を国民年金に変える
    • 区役所に行く
  • 会社の健康保険から国民健康保険に変える
    • 区役所に行く

やってしまえばすぐなのですが、制度がどうなっているのか調べて、確認するのに時間がかかりました。

あとは税金の支払いです。これめっちゃつらいですね、税金って前年の年収ベースで計算されるので、地獄です。 社会人から学生になったら、一部税金控除する制度とか作って欲しいですね。


以上が、大学入学するまでの簡単な流れです。 現在はアルバイトで税金と生活費を確保して、大学に通うってことをしているのですが、二足のわらじは大変ですね。 とくにアルバイト言ってもタスクの質的には正社員時代と大差ないので、脳内リソースの使用率が半端ないです。 少しずつでも、学業側に集中できる環境にしていけないか、考えているところです。

もし、「卒業後にうちに就職して数年働いてくれるなら」など、条件相談の上、学費出してもいいよって企業様などありましたら、ぜひお声がけください。 全力で挨拶に行きます。

いまになって思うと、一番大変だったのはメンタルを持続させることだったかもしれません。 仕事もあるし、社会的評価も多少貰えているし、お金も稼いでいるのに、何故わざわざそれらを捨てて、これほど苦労してまで大学に入り直すのか…。みたいな思考との戦いでした。 特に、ほぼフルタイムで正社員時代と同様の仕事をしていたタイミングで、みんなが高額の賞与をもらえたのに自分がもらえなかった時は、すごいモチベーションが落ちました。 それでも、何だかんだで入学まで持ち込んだのは、なかなかの精神力だったのではないかと、今となっては思います。


大学入学シリーズ4/4 これからについて

この記事は大学に入学するにあたり執筆した4本の記事のうちの1本です。 他の記事などについて知りたい時は、イントロ記事を参照してみてください。

これからについて

とりあえずは勉強します。

大学院にも進みたいと考えてはいますが、これは学費の問題などもあるので、追々検討していきます。 できるだけ進学できるような選択を取っていきたいです。 卒業後はR&Dの仕事をしてみたいとか、研究職をしてみたいとか、給料たくさん欲しいとか、願望自体はいくらでもあります。 とはいえ、それに囚われるのもアホらしい話で、就職するために大学に行ったのではなく、勉強をして、研究をして、自分の能力を向上させるために通っているので、今はそれらに専念しようかなと思います。

ただ、理想的には勉強に集中したいのですが、生活費の問題もあるため、アルバイトは引き続き継続します。 チームラボで週2ほど働いて、また、それとは別でリアルワールドゲームスという企業でも、現在アルバイトをさせてもらっています。 こちらの会社にJoinする際に「学業優先」「リモートOK」という条件を許諾してもらい、チームラボよりもかなり高い時給を提示して貰えたので、本当にお金に困った時はここでめっちゃ働くことで何とかなるだろう…って目算でいます。 (現時点で既に学校の用事なので結構勤務シフトが滅茶苦茶なのですが、快く受け入れてくださり、とても助かっています。)

それで、この会社は何をしてるのかというと、俗に言う位置ゲーを開発しており、先日ちょうどタイトルがローンチされました。 ‎「ビットにゃんたーず」をApp Storeで

こちらのゲームは、ゲーム性としてはポケモンGOに近いです。 大きな違いの一つとして、ゲーム内で仮想通貨を得ることができるようになっています。 ゲーム内でスポット申請をおこなったり、また他人のスポット申請を評価するなどによって、仮想通貨をもらうことができ、将来的にはその仮想通貨で買い物なども出来るようにしようという試みです。 コレ自体も面白いと思うのですが、私はこのゲーム開発にはそこまでガッツリ関わっていません。実はリアルワールドゲームスでは、自前のマップデータを所有しています。そのマップデータAPI用のサンプルプロジェクトの開発がメインタスクです。 GoogleMapAPIは、画像データのみで頂点データを取得できないのですが、リアルワールドゲームスのマップデータは頂点情報を取得できるので、中々に面白いAPIです。 とはいえ、ゲーム開発側にもヘルプに入ることはあるので、ぜひ遊んでみてください。


もし、「たとえば、卒業後に入社して数年働いてくれることを確約してくれるなら、学費を出してあげる」という企業様などがいらっしゃいましたら、ぜひともご連絡ください。ご相談させてください。 少しでも興味がありましたら、TwitterのDMなど、何かしらでご連絡いただければ、履歴書などをお送りします。

とにかく、せっかく入った大学ですので、少しでも勉強に時間を割けるように、頑張っていきたいです。


140週連続

神楽坂にあるお気に入りのお店に毎週のように通っていたのですが、先日のGWの際についに毎週連続チェックインの記録がSTOPしてしまいました。
swarmさん曰く、140週連続だったそうです。
f:id:a3geek:20170518222632j:plain:w300
(創作料理とパラパラチャーハンのお店です)


140週を年単位に変換すると、ざっと2.7年くらいだそうです。
約2年半毎週通っていた事になるのですが、我ながら良く通っていたなと改めて思いました。

マスターの作る料理は絶品で、マスターと二人で雑談をすると別の業界の事なんかが知れてとても面白いのが続けられた要因だと思います。
未だに飽きずにチャーハンが美味しいので、マスターのチャーハン恐るべし。

今後もたくさんお世話になります!